(有)クラフト・アリオカについて
自宅のリビングに、自然木のやさしさをプラス。
クラフト・アリオカは、普段使いの器のほかに、何十年もかけて乾燥させた稀少な木材をつかった器なども作っています。昭和39年に日本初となるモミ材の白い器、40年には、肥松材を使った器を発表しました。
肥松(こえまつ)とは、樹齢300年以上の松の木の中心部をいいます。ヤニを含んで赤身を帯び、讃岐の山野や、瀬戸内海沿岸ならではの気候風土によって、その美しい木目がはぐくまれてきました。その肥松を仕上げるには、油分の多い材のため自然乾燥させるだけでも20年以上かかります。また、害虫などにより300年も生きる老木は少なくなりました。クラフト・アリオカは、長年の経験でその貴重な肥松材のよさを生かしたものづくりをおこなっています。
漆器は、まず木材選びから。クラフト・アリオカのうつわは木材選びからこだわり、世代を超えて使い込んでいける香川の漆器を発信しています。
(有)クラフト・アリオカのこだわり

木目を感じるシンプルな美しいフォルムの器は、そのままずっと眺めていても飽きない佇まい。
まだ使用年月の短い肥松の器は、少し手に残る独特の触感と木ならではの暖かみを感じます。
日本は国土の約67%、3分の2が森林で覆われており、私たちの暮らしと木々の関わりは古くから切っても切り離させないものでした。
もちろんそれぞれの地域ごと風土に適した木は異なります。
香川といえば、全国の約8割のシェアを誇るほどの盆栽の一大生産地。
盆栽の樹種として昔から使用されているのが黒松です。
その黒松の中でも、樹齢300年以上の油分をたっぷりと蓄えた木の中心部が肥松。
肥松は100年程の時間をかけて色が飴色に変化し、手触りも使用するごとに良くなるという特性を持っています。「親子孫三代続くことでその家が完成し、栄える」とされていた日本の考え方や、松竹梅にも表現される松そのものが持つ吉祥の象徴的な意味合いも相まって、肥松は高級木材として重宝される木材でした。
香川では黒松の育ちやすい環境があり、昔から良質な肥松が採れていたため、大阪や京都など広く出回っていました。
またろくろ仕上げの肥松の木工品も江戸時代から作られており、茶人などに愛好されていたようです。

肥松の天板。年月を経るごとに飴色になり丁寧に拭き込んで使用する事でつやが増します。
そんな肥松を使用した木工品を作っているのが、高松市内に工房をもつ有限会社クラフト・アリオカです。
田んぼの広がる、讃岐らしい細いクネクネとした小道添いにその場所はあります。
讃岐式のろくろで挽いた木工品を今でも作る工房です。

「父が木工を始めたのは戦後まもなく。終戦後、兄弟たちが戻ってきて食べるものがないので木の加工を仕事にしたのが始まり。」と工房の成り立ちを教えてくれます。
今回お話を伺ったのは、2代目肥松の伝統工芸士有岡成員さん。

最初は輸入木材を加工し外国に売っていましたが、やがて国内の木の加工をろくろで始めるようになります。
その際に、低調しかけていた香川の漆芸を再興させた人間国宝の磯井如真氏に腕を買われ、氏に提案され作り始めたのが肥松との出会い。
肥松は油分を多く含む特性のため、加工が非常に難しく、高い技術が必要となります。
また肥松の器の制作を後押ししたのが、香川のかつての知事、金子正則氏。
仕上げの油に酸化しにくいオリーブオイルを使用するようアドバイスを受け、いまでもクラフト・アリオカさんの作る肥松の仕上げはオリーブオイルです。
そんな偶然の出会いが重なり、幻とまで呼ばれていた肥松が、今、再び私たちでも手にできるようになりました。

光に透かすと、油分を多く含むため木であるにも関わらず光が透ける。

工房に置かれた道具たち。道具も自ら作った物が多い。

松脂の多い肥松は、ろくろで削っていくと顔中が木屑だらけになってしまうほど。
有岡さん曰く、死んだ木を使ってもだめで、生きているうちに切り出した木でないと、この肥松独特の時間による色の変化は生まれないのだそうです。
しかし、残念な事に、樹齢300年を超える黒松は現在ほぼ入手できない現状。
もしあったとしても、切り出してから20年間以上は寝かせないと使用できないため、「今ある父親の代のストックを使っていくしかない」と有岡さんは語ります。

材料である肥松も、天井付近の軸からベルトを引いた横向きに座るロクロの造りも、讃岐で受け継がれていたもの。
「壊れても人を傷つけることの少ない"木"。
作られているものは人にやさしいものが多い。」
時間の経過と共に味わいが増す、有岡さんの作る器。
日々の暮らしに寄り添うずっと手元に置いていたい讃岐の逸品です。
漆器の洗い方
普段のお手入れは乾拭きで大丈夫です。
漆器を長くご愛用いただくため、使用後や洗った後に柔らかい布でやさしく乾拭きすることをおすすめします。
長年使い込むうちに漆が透け、味わい深い艶が出てきます。
漆器を洗う場合は、漆器だけをまとめて洗ってください。
軽い汚れはお湯や水洗いだけで十分です。
油っこい料理は中性洗剤をつけたスポンジで洗い、流水ですすいだ後、すぐに柔らかい布巾で水気を拭きとってください。
ごはん粒やおかずが器にこびりついた場合は、水やぬるま湯に5~6分浸してから、普段通りに中性洗剤で洗ってください。
長時間浸け置きする必要はありません。
長時間、水に漬け置くのはやめましょう。
漆自体は大丈夫ですが、小さなキズや穴があると、そこから水がしみ込んで徐々に木地を傷める原因になります。
陶器などとは別に洗いましょう。
陶器やガラス製品などと一緒に洗うとキズが付きます。漆器製品だけ別に洗って、柔らかな布でさっと水分を拭き取ってください。ぬるま湯だけで洗うのがベストです。
漆器の拭き方・片付け方
漆器は他の木製品と同様、食器洗い機/食器乾燥器や電子レンジは使用しないでください。
極端な温度、湿度変化により木地が壊れたり、漆の劣化原因になります。
漆は紫外線に弱く、長時間日光が当たると変色する性質があります。
光の当たる部分と当たらない部分では色の透ける速度が違い、色に差が出てきます。
窓から日光が差し込まない場所でお使いください。
漆器を片付ける場合は、漆器同士をそのまま重ねても大丈夫です。
不安を感じる場合は、布かティッシュなどを間にはさんで重ね置きしてください。
たまにしか使用しないものは、温度、湿度の変化が少ない場所に保管してください。
保管の仕方
保管する時は、エアコンやストーブをよく使う、温度と湿度の変動が多いところは避けます。重箱など、たまにしか使わない漆器は、時々、箱から出して顔を見てあげましょう。ツヤがなくなってきたなと感じたら、表面全体を拭き、ごく少量の菜種油を付けた綿で全体になじませた後、乾いた布で拭き取りましょう。