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【波花堂】小豆島で作るこだわりの塩

2019年11月25日

香川県の中心にある高松港からフェリーに乗って1時間、観光地としても人気が高い小豆島に辿り着きます。
小豆島は豊かな島です。オリーブの植樹に日本で1番最初に成功したことから、産業にはオリーブオイル、オリーブ加工品の生産、手延べそうめん、醤油、佃煮など気候風土にあった美味しいものがたくさん作られています。
海があり山があり温暖な気候なので都会からの移住者も増えている人気の島です。
ちょうど取材に伺った際は瀬戸内国際芸術祭2019の会期中。たくさんの観光客の方を見受けました。

今回訪ねたのは小豆島でこだわりの塩を作っている「波花堂」。
穏やかな海が近い静かな場所に製造現場はあります。

波花堂


「波花堂」の主、蒲 敏樹(かば としき)さんは海のない岐阜県出身。
なんと小学5年生の夏休みの自由研究では「塩づくり」をテーマに提出していた過去がありました。
大人になって岐阜で土木関係のお仕事をしていた際、あまりの忙しさに体調を崩してしまったことが奥様と自分たちらしい生き方を模索するきっかけになり、移住先の候補地として色々な土地を巡った結果、目の前には海、背中には山がある小豆島に決めたそうです。

波花堂


塩づくりに欠かせないのは海水。
まず、島の中でも澱みの無い清浄な海水を汲むことが出来る静かな浜を選びました。小豆島町田浦の澄んだ海水を汲み上げます。
浜の近くに蒲さんが設計し、地元の大工さんに建てていただいた小屋があります。そこで海水の水分を飛ばし、「流下式塩田」という方法で濃い塩水を作ります。

波花堂


上から塩水を落下させ「支条架(しじょうか)」と呼ばれるネットを通し衝撃を与える事でよけいな水分を飛ばし、蒸発を促して早く塩になる為の大事な工程をおこないます。この工程で海水中の塩分濃度を3〜4%から10%程度まで上げて濃縮した「かん水」を作ります。現在2基の塩田装置があります。

波花堂


塩づくりで大変なのは、季節に応じて作り方が異なること。
気温、湿度によってかかる時間、作業量が変わってきます。
夏場は早く蒸発するので1週間、冬場は2週間と出来上がり方に時間の差が出ます。

ここでできた「かん水」をすこし離れたログハウスのような雰囲気のある小屋に運びます。
ここでは、薪をくべ、水分を蒸発させる鉄釜に「かん水」を炊き上げます。
その作業を「煎ごう」と言います。
釜に火をくべる際の薪は椎茸を穫り終えた原木や佃煮の原材料が入っていた木箱など使用しています。
この煎ごうという作業中は火は絶やすことが出来ません。天候に左右されながら火を入れていきます。また火を止めてしまうと鉄釜がさびてしまいます。塩作りに必要な鉄釜は塩水と鉄が化学反応をし、火の強さ、蒸発具合を見ながら先に結晶化していくカルシウムを取り除いていきます。
蒸発して減っていくかん水を継ぎ足しながら1〜2週間かけて塩の結晶を取り出していきます。

波花堂


その後、杉樽に塩水を移し寝かせます。こうして全体をなじませ塩の味を均一にします。その後、水分とにがりを抜いて塩の結晶を取り出します。
取り出した塩は作業場で水分をとばし、ふるいにかけて粒を揃えていきます。
この作業場はとても良い場所で小高い場所にあり、窓からは小豆島が眺める事が出来るように設計したとのこと。小豆島の自然豊かな環境で海を眺めながらうまれたての「御塩」の袋詰めを行ないます。何とも羨ましい作業場です。
この作業場は元、大家さんの敷地に現存していたたばこの葉の乾燥蔵をガルバニウム外装を施し、清潔感があるおしゃれな秘密基地のようにリノベーションされています。
湿度によって塩自体の重さが変わってきますので作業場は常にエアコンをつけている様です。

蒲さんはとてもシンプルで自然の恵みを楽しみながら丁寧な暮らしをされています。広い庭、畑にはすもも、梅、ゆすら梅、栗、みかん、レモン、朴葉、茶、ハーブなど色々なものが実り、育ちます。裏の山では山菜採りもできるそうです。
奥さまが庭の梅と「御塩」で漬けた梅干しをいただきました。とても味が深くやみつきになる梅干しでした。
またご自宅では麦みそも作られていました。香りがとても高くすごく美味しいお味噌汁ができるんだろうな。と想像ができました。
過去には漁師の方にたくさんのいわしをいただき、「御塩」で漬け込み、自家製ナンプラー(魚醤)をつくられたこともあるんだそう。地産地消の極意ですね。

波花堂


生活して行く中で小豆島の人々に助けていただき、支えていただき、豊かな自然に守られながらたくさんの「縁(えん)」を感じ、商品名は「御塩(ごえん)」と名付けられたそうです。蒲さんは小豆島で生まれた「御塩」はどんなに希少になったとしても必ず小豆島、香川県では買えるようにしたいとおっしゃっていました。地元で買えなくなるという本末転倒な事が起きないように気をつけたいとのこと。私たち栗林庵でも取り扱っている商品は香川県の皆さまに普段使いとして愛用していただき地元の商品の良さを再認識していただきたいと思ってお店を運営しているので同じ思いを感じました。


波花堂蒲敏樹さん


蒲さんは「御塩」を野菜、魚料理にぴったりですと教えてくれました。素材を引き立たせる塩。それは塩の粒が大きすぎず、小さすぎず、噛んでいる間に塩味が継続されるからとのことでした。岩塩のように粒が大きく溶けづらいと長く塩味が続くのでそういう塩は肉に合うそうです。
普段使いには天ぷら、おにぎりに抜群です。
小豆島産のオリーブオイルと御塩で旬の野菜をいただくのは最高ですね。
自然の恵みを最高の調味料でいただける幸せを皆さんも味わってください。

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